重松清「ロング・ロング・アゴー」

久しぶりに重松清の作品「ロング・ロング・アゴー」を読む。相変わらず、青少年ものを書かせたらこの人の右に出る人はいないと再認識。青少年を主人公にした短編六篇が収録された作品。
地方都市のデパート経営者の小学生のお嬢様と友達が主人公の「いいものあげる」とその続編のような「再会」。郊外の大型ショッピングセンターにお客を奪われたデパートは閉店し、お嬢様は大きなお屋敷もともおさらばして、さみしく去っていく。そして「再会」では、さらに悲しい運命が語られます。
「ホラ吹きおじさん」は、何をしても中途半端なおじさんですが、甥っ子には優しいひと。でもやっぱりおじさんの最後は悲しい。
「永遠」は障碍者同士が結婚する話を軸に、結婚式に招待する人を探すお姉さんの目から、障碍者と周りの人を描く作品。
「チャーリー」は、積極さが取り柄の小学生が、周りから浮き上がっていじめられる姿が本人の心から描かれます。
「人生はブラの上を」のブラはブラジャーのこと。ぽっちゃりとして、何事にも鷹揚な少女と、彼女の一応は友達という同級生。この同級生が大人になってから回想形式で語られるはなし。実際は彼女を周りの子供と同じようにバカにしていた自分を嫌悪しながら、語られます。
いずれの作品も、大人が読んでも胸に何かを残してくれる作品でした。
女房や成人した子供は、重松清のワンパターンを嫌いますが、私にとってはやはりいい作家であります。
今日はこの辺で。