桜木紫乃「終着点駅(ターミナル)」

桜木紫乃「終着点駅(ターミナル)」読了。表題作を含む6篇からなる短編集。舞台は北海道の道東、道央、道北など。
やはり表題作「終着点駅」が秀逸。釧路で弁護士事務所を開く65歳の弁護士は、国選弁護しか引き受けない人。その男の人生が語られます。
最後の「潮風の家」もしみじみとしたいい作品。30年ぶりに故郷に帰った54歳になる女の半生と、彼女を迎えてくれた85歳の老女の触れ合いが描かれます。
「海鳥の行方」と「たたかいにやぶれて咲けよ」は連作になっており、若い新聞記者が取材対象となった、いずれも亡くなった二人の人生を追います。
桜木さんの作品を集中的に読んでいますが、どれも味わい深く、飽きることがありません。これからも北海道を舞台にした作品を待っています。
今日はこの辺で。