桜木紫乃「ブルース」

桜木紫乃「ブルース」読了。例によって、北海道の道東を舞台にした味のある話。
貧民屈のようなところで育った男が、やがては街を牛耳る存在にまでなる過程を、付き合った女の立場あら描いた連作。6本の指を持った青年が、その容貌と度胸、セックステクニックで女を魅了し、或は女を助けたりと、決して悪い人間ではないものの、職業は人をだましたりする詐欺師のような存在であることも行間からうかがえる。やがて、自分を縛っていた6本の指の1本を切り落とし、それを機にさらに飛躍する男だが、決して憎めない存在でもある。
若干風俗小説的なところもあるが、桜木独特の筆致はこの作品でも失われておらず、読みごたえのある作品でありました。
今日はこの辺で。