桜木紫乃「裸の華」

桜木紫乃「裸の華」読了。私の好きな女性小説家の一人で、北海道の主に釧路を舞台とした小説が多いのですが、今回の舞台は札幌はすすきの。主人公ののりかは、40歳の元ストリッパー。舞台でけがをして、小屋でストリップをできなくなったため、デビュー地の札幌に戻って踊りとカクテルを売りにしたクラブを開店することに。幸運にも若いダンサー二人とカクテル作りの名人のバーテンダーと出会うことができ、開店にこぎつける。それから4人を中心とした物語が1年続く。
のりかは決してストリッパーとしての過去の自分を隠そうともしない、むしろその職業に矜持を持っている。決して小屋での踊りとクラブでの踊りに違いはないと誇りを持っておろ、二人の若いダンサーもそんなのりかを尊敬して、バーテンダーの男も同じくのりかを支える。しかし、若いダンサーの才能を閉じ込めることもできないジレンマに悩む姿が語られます。
結局1年間で閉店となるものの、のりかはまた自信を持って元のストリッパーに戻っていく姿が描かれます。40歳が45歳、50歳となり、師匠の静佳さんのような老境になっても踊っている姿を想像したくはないですが、のりかさんはきっとまた札幌、すすきのに戻ってくることを余韻として残して、しばらくは舞台で裸の華を咲かせていくのでしょう。
桜木さんの小説らしいタッチで、強く生きる人間模様を描ききっていると思いました。
今日はこの辺で。