桜木紫乃「硝子の葦」

桜木紫乃「硝子の葦」読了。桜木さんの直木賞受賞作「ホテルローヤル」の舞台である釧路郊外のラブホテル、ホテルローヤルの経営者、幸田喜一郎と妻節子を中心に、釧路湿原の荒涼とした雰囲気の中で複雑に絡み合った人間関係を軸に物語が展開します。この小説はどこのジャンルに入るのか。ある書評ではクライムサスペンスとかいうキャッチコピーがありますが、これはサスペンスではなく、やはり人間ドラマ。後半で確かに殺人偽装的な場面が出て出てきますが、本質は人間ドラマでしょう。「ホテルローヤル」は、ラブホテルを利用する人たちの連作短編でしたが、この「硝子の葦」は長編作品。何度も言うようですが、桜木作品は道東釧路の重くじめじめした雰囲気が何とも言えず物語にインパクトを与えています。いい作品でした。続いて、「終着点駅」を読んでいます。
今日はこの辺で。