アメリカドキュメンタリー映画「ハーツ・アンド・マインズ」

アメリカの傑作ドキュメンタリー映画「ハーツ・アンド・マインズベトナム戦争の真実」鑑賞。
アメリカが最終的にベトナムから撤退するのが1975年。そしてこの映画は同年のアカデミー賞の最優秀ドキュメンタリー賞を獲得したドキュメンタリー史上の傑作。戦争終結以前からの映像をよくもこれだけ集めて映画にしたものです。これがまたアメリカ文化の真骨頂か。
フランスのインドシナ侵攻を引き継いで、共産主義の拡張、すなわちドミノ理論を錦の御旗にして起こしたアメリカ史上最悪の戦争の真実を否応なく描いた点でも素晴らしい作品。確かに冷戦がもたらした戦争と言えなくもないが、なぜこれだけの犠牲を払って戦争を続けたのかが、よく理解できます。結局、軍や政府は都合の悪い情報は隠し、国民に嘘をつき、戦争を続行したのです。この映画では出てはきませんでしたが、そこには軍需産業と結びついた政治家や、メンツにこだわった遂行論者がいたのでしょう。昨日観たチェチェン紛争を描いた映画や今日の映画を観て、反戦の思い、そして今の日本の向かおうとしている危険な道にさらに憂慮してしまいます。
日本はアメリカ相手に4年間の太平洋戦争を戦いましたが、ほとんど勝ち目がないことを承知しながら総力戦を挑み、玉砕や人間魚雷、そして特攻に至るまで、若者の命を犠牲にして戦いました。正に愚の骨頂でしたが、アメリカもまた、愚の骨頂を10年以上にわたってベトナムで行ったのです。そして、そのアメリカは、世界の警察官と称して、その後も湾岸戦争イラク戦争アフガニスタン戦争、シリア内戦などに関与し、同じことを繰り返しています。そこには大きな人命の犠牲と、莫大な戦費が使われています。
そして、日本も集団的自衛権の行使と称して、なし崩し的にアメリカの片棒を担ぎだそうとしている現実。普通の国になりたいと思っている政治家や改憲派に是非ともこの映画を見てほしいものです。彼ら名常々、日本を取り巻く状況が変わったことを理由に挙げて、自衛隊が戦争をできるようにしたいと思っているようですが、アメリカが関与した戦争で、その後平和になったところはありません。なぜなら、暴力は暴力を再生産するからです。暴力の最たるものは戦争であり、それをアメリが言うからできるようにするなんてもってのほかです。
昨日も書きましたが、日本の明治維新から敗戦までは戦争の歴史であり、暴力の連鎖の歴史です。暴力からは暴力による復讐しか生まないのです。
昨日の憲法記念日、護憲集会も行われましたが、一方では改憲集会も開かれ、今が改憲のまたとないチャンスとばかり、万歳をしている集会がありました。全く何を考えているのかとあきれてしまいます。
日本は間違いなく戦争で中国や韓国・朝鮮に侵略し、暴力をもって支配しました。その反省を求め、謝るのは当然の行為です。日本がかつて暴力をもって支配したから、その復讐の意味で中国・韓国がしつこく日本に反省や謝罪を求めるのは、むしろ自然の話なのです。政治家はそこのところを理解しなければ、政治家たる資格がないというべきでしょう。
今日はもう一本、北野武の「龍三と7人の子分たち」も鑑賞。こちらは主義主張がどうのこうのといった映画ではなく、単なるコメディ。ここでも暴力が出てきますが、笑いの方が多くて救われました。
今日はこの辺で。
今日はこの辺で。