アジア映画二題

東京国立近代美術館フィルムセンターという映画専門の施設があることも知りませんでした。本日、ネットでイベント情報を見ていて、ヒットしたことから早速行ってきました。
2月17日から3月15日までの1月間、「現代アジアの映画作家たち」と題してほとんど上映されることのないアジア映画を上映しています。
本日は、ベトナム映画「きのう、平和の夢を見た」と、インドネシア映画「GIE」を鑑賞。
「きのう、平和の夢を見た」は、ベトナム戦争若い女性医師として従軍し、彼女が日記をつけていたことから、その日記が発見され、平和を願う彼女の思いがアメリカ兵にも伝わり、物語が展開するというお話。ベトナム戦争終結からすでに40年が経過しますが、そこには数えきれない物語が存在するはずです。でも、それも次第に風化して、ベトナム戦争は何だったのか?特に若い世代には、全く関心が薄れてしまっている出来事かもしれません。でも、ベトナム戦争は東西冷戦を背景にした熱い戦争であり、ベトナムの多くの人の命が奪われ、アメリカ人兵士もたくさん戦死しました。この冷戦が終結し、平和な世界が訪れると思いきや、今の世界の惨状は、なんら変わることのない戦火がどこかで起こっている悲劇。
ベトナム戦争の背景などは映画では語られませんが、本当に一市民の立場、一家族の立場で、そのむなしさ、その無益さがひしひしと伝わり、映像や展開に若干弱点はあるものの、見事な反戦映画となっていました。
インドネシア映「GIE」はスカルノからスハルトへの移行時代に青春期を過ごしたGIEという青年の物語。インドネシアはオランダから独立するものの、独立の英雄であったスカルノ独裁制をしき、その中でGIEは反独裁を主に言論で訴えます。そのスカルノ時代が終わってよくなると思いきや、軍事独裁スハルト政権がつい最近まで続くことになります。そんなインドネシアの歴史も、私自身よく理解していませんでしたが、反政権運動が常に繰り返された様子が描かれます。GIEは若くして亡くなりますが、彼の日記をもとに造られたというこの映画が物語る、今のインドネシアの繁栄の前の時代を学ぶいい機会になりました。
今日はこの辺で。