東野圭吾「祈りの幕が下りる時」

今年最初の小説は、東野圭吾祈りの幕が下りる時」。東野作品の二枚看板の一人であります、ご存じ加賀恭一郎刑事もの。それも、彼の生い立ちや母親にかかわる事件を扱った作品になっています。
加賀の母親が仙台で亡くなったことを伏線として、東京で発生した二つの殺人事件を追う加賀刑事が行き着く先は、・・・・。この小説を読んでいてなんとなく思い出したのが、松本清張の「砂の器」。暗い過去を持つ男が戦争をきっかけに新たな戸籍を取得し、芸術家として成功するが、その過去を隠すために殺人を犯すことになる「砂の器」は、小説よりも野村芳太郎監督の映画の方が出来がいいとの評価もありますが、ふとその砂の器を思い出しました。
この東野作品も、成功した女性演出家と、彼女を守るために行われる殺人がなんとなく構図が似ているような感覚を味わいましたがいかがでしょうか。
いずれにしても東野作品は、相変わらず読みやすく、複線もそれほど突拍子もないとは言えない設定で、楽しめる作品ではありました。
ちなみに、昨年の週刊文春ベストテンの2位にランクされた作品です。
今日はこの辺で。