東野圭吾「素敵な日本人」

東野圭吾が2011年~2016年にかけて小説宝石などに発表した9編を掲載した短編集「素敵な日本人」読了。「素敵な日本人」という題の作品は出ておらず、どうしてこういう表題にしたかは不明。9作品共通としては、確かに日本人しか出てこないのは確か。ただ「素敵」の意味がどこにあるのか?は、私にはわからずじまい。

いずれにせよ、どの作品も読んでいて面白いのは確か。東野圭吾の頭の中には無限のネタがあるように思えてきます。誠にあっぱれな作家。

9編の中でミステリーとして気に入ったのは「十年目のバレンタインデー」。有名作家となった男が、実はかつての恋人のネタを自分の作品として発表し、その恋人を自殺に見せかけて殺人。この恨みを晴らす女性刑事の話。ただし、刑事であることは最後にわかるのですが。

ヒューマンストーリーとして面白いのは「水晶の数珠」。役者になることをあきらめきれない男と、彼の父親の葛藤を描く。代々伝わる水晶の数珠の秘密が最後に明かされ、男は役者をあきらめずに続けることを決心するラスト。

とにかくどの作品も味があるもので、東野の才能に感服する次第です。

今日はこの辺で。