白石一文「ほかならぬ人へ」

白石一文直木賞受賞作「ほかならぬ人へ」読了。表題作と「かけがえのない人へ」の中篇2作。
白石さんの文章はいつも読みやすく、私のような空っぽの頭でもすいすい読めて心地よい。反面内容はと言えば、少し変わった人間が出てきて、そんなことあり?でも世の中には不倫とか自殺とかはいくらでもあることなので、ありなんでしょう。
「ほかならぬ人へ」は名家のお坊ちゃん育ちの主人公が美形のなずなちゃんと結婚するものの、裏切られ、最後は上司である女性課長と結婚し、彼女の死を見取るという、悲しい話。美人じゃないけど仕事が出来、スタイルも抜群な30代女性課長が「ほかならぬ人」であり、私の頭の中ではだんだん彼女が綺麗になってきました。
「かけがえのない人へ」は名家のお嬢さん育ちの女性が主人公。彼女は婚約者がありながら結婚直前まで会社の上司とセックスを楽しむ。こんなのあり?でも今ではいくらでもあるのでしょう。
彼女も顔は普通以下と表現されているが、荒々しい男に3時間も責められてもだえ、楽しむ姿はポルノ小説以上の臨場感。この荒々しい男が、彼女にとっての「かけがえのない人」なのですが、知らないで結婚する男は悲劇でしかありません。
今日はこの辺で。