秋吉理香子「暗黒女子」

秋吉理香子さんのミステリー「暗黒女子」読了。2017年に映画化もされ、秋吉さんの名前もかなり知れ渡ったようですが、私は全く映画について気づかず、予備知識なく読みました。

主人公は白石いつみさんとするべきか、それとも澄川小百合さんか、女子高校生全員なのか。出演場面が多いのが白石さんなので、彼女中心の作品と考えるべきでしょう。

私立のお嬢様学園高等部の文学サークルが舞台。サークルの部長が白石さん、副部長が澄川さん、それに部員が5名。白川さんは当學園の会長で、お金持ちのお嬢様。彼女は休部になっていた文学サークルを復活し、部員を勧誘して、お嬢様サロンの女王として君臨。澄川さんは白石さんの信頼のおける親友。その下にいる5人の部員たちが、白石さんが自ら声をかけてサークルに参加させた生徒。その白石さんが謎の死を遂げてしまう。澄川さんは、5人の誰かが白石さんを殺したのではという疑いを持ち、伝統の闇鍋会という催しを開き、5人に誰が白石さんを殺したかの朗読小説を書いて発表させる。5人はそれぞれ、ターゲットを絞り、5人のうち誰がどういう動機をもって白石さんを殺したかという小説を持ち寄って順番に朗読が始まる。

二谷美礼は古賀園子、小南あかねは二谷美礼、ディアナ・デチュバァは高岡志夜、古賀園子はでぃあな、高岡志夜は小南あかねを、5人は計ったようにそれぞれ別人に動機があり犯人とする朗読小説を読み上げる。そして、澄川小百合が白石いつみの遺書なるものを読み上げる。そこには白石がどうやって5人の弱みを握りサークルに誘い、自分が女王の様にふるまう環境を作ったかが語られ、サークルの顧問の北条先生と愛を育んできたかを語り、死んだのは芝居で、自分を殺そうとした5人への復讐のための闇鍋会を澄川が開催してくれていること、その復讐とはスズランの花の毒を闇鍋に盛って復讐を果たすことを高らかに宣言したのだ。これを聞いて5人は震え上がる。

しかし、最後に澄川が閉会の挨拶で、毒は盛られていないこと、これからは自分が白石に代わって女王として君臨することを宣言する。

女子学園物によくある、いわゆる陰湿ないじめあいやヒエラルキーを、それぞれ個性的な人物を作り上げて推理小説に仕立て上げている秋吉さんらしい作品でありました。

今日はこの辺で。