ドキュメンタリー映画「フツーの仕事がしたい」と働く環境

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土屋トカチ監督のドキュメンタリー映画「フツーの仕事がしたい」の鑑賞と、雇用環境に関するシンポジウムに参加してきました。
「普通の仕事がしたい」は、セメント運搬会社の運転手として働く青年が、長時間労働と低賃金、待遇の悪さを改善すべく労働組合に訴え、普通の仕事を実現していくというドキュメンタリー。全くの実話で、今日主人公の運転手の方も会場に見えられていました。
運送会社は有限会社で規模は小さく、社会保険雇用保険には加入しておらず、賃金は完全歩合制。ひどい時で月間552時間の労働時間が記録されたとのこと。会社側は暴力団まがいの人間を雇い、本人を脅したりする場面が、生々しく撮影されています。彼は結局組合の力を借りて、会社を辞めることなく普通の仕事を勝ち取るのですが、大きな犠牲を払いました。母の死、本人の病気入院。小さな身体をした方ですが、本当によく頑張りました。
シンポジウムでは、土屋監督のほか、同じく映画監督の深田晃司さん、須賀信夫さん(元ラピュタ阿佐ヶ谷映写技師 不当解雇撤回闘争中)、ムービーユニオン、インディユニオンの方が壇上に上がり、「新しき映画労働、映画作りへの道」と題したシンポジウムが開催される。そこでは映画やビデオ、フリーライターなどのメディアの現場で働く方たちの待遇の悪さについて語られました。かつての映画全盛時代は東映東宝、松竹、日活という大手映画会社は撮影所を持ち、ほとんど正社員が現場を担っていましたが、現在ではほとんどが中小のプロダクションやフリーの人が担っています。そして彼らは必要なときだけ呼ばれて、しかも寝る時間も与えられないような過酷な現場で、低賃金で働いています。勿論社会保険や失業保険もありません。そんな環境を少しでも改善していくための組合活動ですが、なかなか難しい課題ばかりが提言されます。
本当に日本社会はどうなってしまったのか?
映画会社やテレビ会社の正社員はきれいな仕事をやって高給をとり、下請けは最低賃金にもならないような低賃金と明日の希望もない不安定な立場で仕事をしている現状。
一種の芸術分野で、好きでやっているからしょうがない、ではすまない問題と感じました。
今日はこの辺で