白石一文「不自由な心」

白石一文の「不自由な心」読了。表題作ほか全5編の長めの短編集。5編のうち4篇は、既婚のサラリーマンが、妻以外の女性と関係を持っているシチュエーション。特に社内での不倫が多く、それがごくある触れたことのように語っているところがまず気に入りません。そんなに社内で不倫がはびこっているはずがありません。「いい加減にせよ」といいたくなりますが、作者が最後のあとがきで「小説は少し誇張して読者に訴えるべきもの」と書いているのを見て納得。白石自身も「不自由な心」に代表されるようなわがままな男を誇張して書くことにより、小説のエンタテイメント性を高めているのでしょう。
いずれにしても、あまり印象に残る作品でもないし、どちらかといえば気分を害するような小説でした。
今日はこの辺で。