浅田次郎「竜宮城と七夕さま」

浅田次郎のエッセイ「竜宮城と七夕さま」読了。浅田さんが、JALの機内誌に2013年から2016年にかけて掲載したエッセイをまとめた単行本。従って、一つのエッセイは2,500字弱の短いものですが、エッセイの中にも出てくる通り、日本ペンクラブ会長でかつ売れっ子作家であるなかで、書き続けるタフさは簡単もの。作中出てくる、同時に5本の小説連載とこのエッセイ、そしてスポットで入る仕事で目いっぱいのはずですが、さすがわ天下のストーリーテラーの浅田先生、このエッセイでも手を抜いているどころか、下手な小説よりもエンタテイメントですぐれた作品になっています。
私が初めて浅田先生の作品にめぐり逢ったのは、天切松の第一巻目。それ以来ほとんどの作品を読んでいますが、裏切られることのない超ド級の作家。何本も同時に作品を書くことの難しさは、私には到底わかりませんが、2冊の小説を同時に読めない自分を考えると、おそらくは至難の業に違いありません。そんな浅田次郎の今後にも期待して筆をおきます。
今日はこの辺で。