東野圭吾「黒笑小説」

東野圭吾の短編集「黒笑小説」読了。題名の通り、ブラックユーモアたっぷりの作品集。
東野自身が直木賞に6回ノミネートされ、ことごとく落選し、ようやく7回目で射止めましたが、この短編は直木賞をとる前の作品で、「もう一つの助走」、「過去の人」、「線香花火」、「選考会」などは、文学賞の選考に対して大いなる批判をこめて皮肉った作品になっています。横山秀夫直木賞卒業宣言をしたのとは対照的に、これだけのユーモアで皮肉ることのできる自信は大したもの。
私のお気に入りは「笑わない男」。人を笑わせられない漫才コンビが、宿泊したホテルマンを笑わせようよ悪戦苦闘する話。ホテルマンには確固たるプロ意識が感じられ、それに対してプロとして発展途上の漫才コンビの成長する気配を感じさせてくれました。
作家にまつわる上記作品が中心になっているせいか、他の作品にいまひとつアピール度が無いのが残念でした。
今日はこの辺で。