江國香織「赤い長靴」

あまり書くことがなくて、また小説レビュー。
江國香織「赤い長靴」。結婚して10年位経つ奥さんが40歳前後で旦那が45歳ぐらいの、子供のいない夫婦の何気ないやり取りと、それぞれの思いを綴った不思議な小説。
旦那さんは家事を一切しない、無愛想なタイプなため、本来は無口であろう奥さんが一方的に話すという夫婦の会話。そんな中に、「赤い靴」ならぬ「赤い糸」で結ばれたようなほんわかとした感じが読み取れます。「別れてもやっていける」という言葉が出てくるものの、決して別れることがないであろう夫婦に感じました。
私自身は一人子供がいるので救われていますが、もし子供がいなかったら女房と毎日どんな会話をしているのだろうか?私だったら、もしかしたら退屈で、つまらなくて耐えられないかもしれません。この夫婦のように、赤い糸で結ばれていて、お互いに慈しみあっている夫婦がとても羨ましくなりました。
話は代わって、昨日芥川賞直木賞の選考が行われ、30代の女性二人が受賞しました。江國香織も数年前に直木賞を受賞していますが、最近の女性作家の活躍は目覚しいもの。女性の感性の鋭さがいい作品を生み出すのでしょう。
特に川上未映子さんは、まだ二作目の作品とのこと。容姿からは奔放な感じを受けますが、貧困家庭で14歳から仕事をして生活費を稼いでいたという苦労人。なおかつ、古典に親しんでいたとのこと。こういった作家には、ぜひ大成してもらいたいものです。数年前の綿矢りさ金原ひとみとはまた違ったタイプなのでしょう。
今日はこの辺で。