荻原浩「明日の記憶」読了

荻原浩の「明日の記憶」を乗鞍からのバスの車中で読み終えました。映画は確か1年ほど前に見たのですが、小説は今回が初めて。映画はほぼ小説の通りに出来ており、主人公を渡辺謙、奥さんを樋口可南子に置き換えて読みました。こうしてみると配役もピッたしの映画ではなかったかと感心しましたが、実は他の人が演じていたら同じように思ったことでしょう。
さて、主人公は若年性アルツハイマー病という不治の病。日々の記憶が失われていくと言う恐怖が小説ではなおいっそう強く表現されていました。と同時に、私自身も最近の物忘れがひどく、主人公になったつもりで読みました。確かに小説の主人公と同じような兆候が見られるのです。昔のことはよく覚えているのに、つい最近のことはすぐに記憶からなくなっているのです。会議や外出の予定もふっと忘れてしまい、言い訳に苦慮したこともあります。実際にお客様に迷惑をかけたことがないのですが、営業などをやっていたら、大変なことになっていたでしょう。
今のところ、一般的な年齢による物忘れと言うことで自分では無理やり納得させていますが、実際のところは分かりません。分かることも怖い気がします。特にこの本を読んだ今現在では。
小説もたくさん読みますが、記録しないとすぐに読んだ本を忘れてしまいます。「この本は前に読んだかなあ?といつも手にとって考え込んでしまいます。同じく映画もそうです。先週見た映画の題名は何だったかなあ?、あらすじはどんなだったかなあ?よほど印象に残らないと確かな記憶が残らないのです。
私は主人公の年齢より1つ上の51歳。他人事ではない思いをもって読んだ小説でした。
旧王はこの辺で。