恩田陸「蒲公英草紙」読了

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恩田陸の「蒲公英草紙」を読み終えました。この作品は確か1年ぐらい前、東野圭吾が受賞した直木賞で候補となった作品だったかと思います。恩田が「光の帝国」で書いてこだわっている「常野」が若干出てくる作品。ただ、この作品は槙野家の次女である聡子が主人公といってもいいでしょう。槙野家に出入りする医者の娘である峰子が語る物語ですが、体の弱い聡子の天使のような穢れのない心と振る舞い、最後の、命を賭して子供たちを救う勇敢な行動。思わず涙が出てきました。こんなにも純粋で心の優しい女性がこの世にいるのかと思うくらい、すばらしい少女像が描かれていました。そして、裕福ではありますが、村人や旅人に対して寛大な槙野家の家風に、かつての日本社会の名家の善意を教わりました。
この小説を読んでもう一つ教えてもらったことがあります。それは「蒲公英」(タンポポ)という字。前にもどこかで出てきて、調べたことはあったんですが、忘れていました。最初「ぶこうえいそうし」などと読んでしまいました。お恥ずかしい限り。
今日はこの辺で。