「夕凪の街桜の国」観賞

原爆投下の悲劇が現代にも繋がっていることを静かに、かつ強烈に心に訴えかけた映画「夕凪の街桜の国」を見てきました。見る前から覚悟はしていたのですが、予定通り涙垂れ流し状態で、泣きに泣けました。隣で見ていた女房も同様のようでしたが、どうしてもこういう映画を見ると泣けてしまい、我ながら感情移入の大きさを感じてしまいます。
原爆投下13年後の広島を舞台にした「夕凪の街」。主人公の皆美は広島で被災し、父親と妹を失いますが、自らはそのときまで何もなく暮らしてきました。しかし突然病に倒れ、26歳の若さでなくなるまでの悲しい物語。勿論原爆被災による原爆病の発祥です。そして、平成19年の今日に物語が移る「桜の国」。原爆投下後63年経った今も原爆の影が人生にのしかかっている現実。
つい最近も現職の防衛大臣が「原爆投下はしょうがなかった」発言をして大臣を辞めましたが、この映画を見ていれば決してそんな軽々しい発言は出てこなかったでしょう。主人公の皆美の言葉、原爆は「落ちた」のではなく、「落とされた」ものなのです。
たまたま原爆が投下された広島、長崎。そして、たまたまそこに住んでいて被爆した人たち。そんな人たちが、どうして世間から差別的に見られなければならないのか。そんな理不尽を否応なく感じてしまいます。しかしそれが現実でもあります。皆美の母親が、息子が被爆者と結婚しようとするときにとるあの厳しい態度は、決して誰も非難は出来ないでしょう。母親も被爆者であり、娘を失い、さらに息子をそんな悲しい目に合わしたくない親としての当然の態度かもしれません。それだからこそ重みのある態度なのです。
原爆投下も知らない子供が増えている昨今、こうした映画を是非子供たちに見せたいと思うのは私だけでしょうか。
今日はこの辺で。