池井戸潤「空飛ぶタイヤ」読了

池井戸潤直木賞候補作「空飛ぶタイヤ」を読み終えました。2段組500ページ近い長編ですが、決して飽きさせず、次の展開を期待せざるを得ない語り口で、一気に読み進みました。大手自動車メーカーホープ自動車はM自動車をさすことは明白で、臨場感もあります。場合によってはM自動車から名誉毀損で訴えられるような大手メーカーの横暴振りが描かれており、その意味でも庶民感情に訴えるものがあります。
整備不良を問われた中小運送会社社長の執念が、最終的には大手メーカーを追い詰め、ハッピーエンドとなりますが、大企業病と戦っている大企業やお役所の中間管理職には、この社長の奮闘は心地よい反面、自分には出来ないもどかしさを感じるのではないでしょうか。
ホープ自動車の社員は若干戯画的に描かれていますが、銀行員や警察の対応は実際にこんなものかもしれません。一人の奮闘者=英雄が存在しなければそのまま流されてしまうことは多々あるのです。是非サラリーマンは読んで自問自答したらいかがでしょうか。
今日はこの辺で。