浅田次郎「あやし うらめし あなかなし」読了

浅田次郎お得意の幽霊もの?(奇談もの?)の表題作を読了。相変わらずのうまさで、言葉がありませんが、特に「昔の男」と「客人」は秀逸。
「昔の男」の看護婦さんのひたむきさと、彼女の幸せを願う周りの人たちの心遣いがひしひしと伝わってくる作品でした。こんな女性には是非とも幸せな結婚をして、幸せな家庭を持ってもらいたいと思います。ただし、こんな考えは今風ではないのかもしれませんが。
「客人」が最も心に残る作品です。怖い話といってもいいでしょう。主人公の40才の独身男とかつての恋人との悲しい別れが次第に明るみになってくるお話。男の両親に拒否され、男からも見放された女性が身重のまま自殺した事実が、男を一生苦しめていることが浮き彫りになります。この女性のあまりにも悲しい運命が切なくてなりません。自殺の場面は踏み切りですが、これは先日常盤台であった事件を思い出させます。この事件の女性も、この小説の女性のように深く悲しい思いがあったのかもしれません。何故か、男についてきた飲み屋の女性と一緒になってほしいと感じました。
明日はお彼岸の中日の休日ということで、今日は映画を見てきました。デンゼルワシントン主演の「デジャヴ」。事前に知識なしに見ましたが、なかなか楽しめました。かつて私が小学生の頃、アメリカのテレビドラマで「タイムトンネル」がありましたが、要は時間を乗り越えて活躍する刑事のお話。荒唐無稽な内容ではありますが、何となく説得力もあり、頭は混乱したものの楽しめる作品でした。
今日はこの辺で。