北朝鮮帰国者運動とは何だったのか

1959年から1984年まで行われていた「北朝鮮帰国者運動」で、在日韓国・朝鮮人及びその妻たち、9万3千人が北朝鮮に渡りました。「地上の楽園」という巧妙な宣伝によって、これだけの人が北朝鮮に行き、多くの苦難を味わうことになってしまったのです。彼らは日本への帰還も許されず、彼の地では日本からの帰国者ということで差別を受け、生活苦から脱北する者も現れました。そして本人または彼らの子供たちが日本に約120人、既に帰還しているということです。今後北朝鮮体制崩壊などにより、帰国者たちが日本に大量に帰還することも考えられますが、こうしたことを考えるシンポジウムが昨日、2月3日に新宿の明治安田生命ホールであったため、参加してきました。
北朝鮮の現状は相変わらず惨憺たるもののようですが、脱北者は減少しているようです。それは中朝国境の両側で警備が厳しくなっているからですが、いつ何時体制崩壊が起きるかも分からないでしょう。
「地上の楽園」というデマゴーグを作り上げたかつての政治家やマスコミは、この帰国者問題をどう捉えているのでしょうか?社会党は政党自体消滅してしまったような衰退振りですが、何を根拠に「地上の楽園」という言葉が出来上がり、帰国者運動を祭り上げていったのか?今真剣に議論する人はいませんが、拉致問題と同じように、家族が引きちぎられた大きな悲劇なのです。そしてその数は何万人という規模なのです。「自分から進んで行ったのだから」という自己責任論だけで済ましていい問題ではないような気がするのですが。
今日はこの辺で。