8月22日(日)、新宿武蔵野館にてイギリス映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地」鑑賞。
ナチスのホロコースト映画は、75年たった現在も盛んに作られており、その悲惨さを映像がこれでもかこれでもかというように伝えています。それに比べてソ連=ロシアでの独裁の悲惨さについては、それほどお目にかかれないのが実態。そんな中、この映画はスターリン時代の社会主義実験段階のおける社会のひずみを描いた貴重なもの。
1930年代前半は、アメリカから始まった大恐慌により、ヨーロッパも大不況となり、ドイツもナチスの台頭を招く要因となったが、そんな中スターリン支配下のソ連は、社会主義の恩恵で唯一好景気を維持していたという風評が欧米にあったようである。これに疑問を抱いたイギリス人記者、ガレス・ジョーンズがモスクワに行き、ウクライナがひどい経済状態であるという情報をつかみ、冬のウクライナに潜伏取材に赴き、その惨状を知る。記者はモスクワでニューヨークタイムスの記者に真実を書くことを進言するが、彼は拒否。ジョーンズはイギリスに帰国してソ連の真実を訴えるが、イギリスの権力者たちは彼の言説を葬ろうとする。
思い出すのが、1950~60年代の北朝鮮。天国の楽園といわれ、日本からの帰国事業も大いに盛り上がったが、実際には地獄のような世界であったといわれる。世界で初めて社会主義の実験地となったソ連の、正に赤い闇がウクライナをはじめ多く潜んでいたのでしょうが、それは第二次世界大戦という大きな波に向かう中で、忘れ去られた存在となってしまったかのようです。
この映画は、結局は崩壊した社会主義ソ連の、始まりだったことを暗示しているようです。
今日はこの辺で。