映画「かぞくのくに」

19日の日曜日に、女房と日本映画「かぞくのくに」鑑賞。監督は在日の女性監督。女房がどうしても見たいということで、付き合うことに。
「かぞくのくに」とは日本のことなのか、北朝鮮のことなのか?
1959年から始まった在日韓国・朝鮮人北朝鮮への帰還事業は1984年まで続き、約93,000名の方が、当時「地上の楽園」と言われた北朝鮮に帰還、又は移住しました。
韓国は当時政情不安などがあり、在日韓国人の受け入れは行っておらず、帰還者は北朝鮮の実情を知ることなく、地上の楽園を目指しました。
映画の主人公の青年は、16歳の時に帰還し、脳腫瘍の疑いがあるということで、25年ぶりに病気治療のため、3か月の期間限定で日本の家族の下に戻ります。
父親が朝鮮総連?の幹部でもあり、その父の薦めもあって帰還したのですが、北は監視社会。日本滞在中も北朝鮮人の監視が四六時中ついて回ります。
妹や幼馴染から北での生活ぶりを聞かれても、北に家族を残しているので何もしゃべれない。そのつらさを、抑えた演技で井浦新が見事に演じました。
妹に北の工作員になるように言わざるを得ない北の命令。父親にジレンマを訴える場面。
3か月では直せない病気のため延長せざるを得ない状況ながら、突然3カ月途中での帰国命令があり、それに何ら反抗できない北の国情。
「かぞくのくに」はこの青年にとって日本でもあり、北朝鮮でもあるのでしょう。
帰還事業で北に移住した93,000人の消息ははっきりしていませんが、日本からの送金額で格差がつけられているとも聞きます。中には強制収容所に送られたきり消息不明ということも聞きます。とにかく大多数が苦しい生活を強いられたことが想像されます。
北の実態を静かに訴える優れた作品でありました。
今日はこの辺で。