クラッシュの訴えるもの

昨日の金曜日、予定通り映画の日、ホテルルワンダを目的に新宿武蔵野館の券を持参して行ったところ、既に席は満杯。仕方なく隣で上映しているクラッシュを観ることにしました。本場アメリカのアカデミー作品賞受賞作ではありますが、何の予備知識もなく観ることになりました。客席は約3分の1の入り。武蔵野館の中では多い客席数の会場ではありますが入りはよくありません。ここで疑問が一つ。今一番受けているのがホテルルワンダなのであれば、客席数の多い方で上映し、クラッシュを小さいほうで上映すればいいのにと思いました。同じシネコン内であれば、もっと融通の利く上映の仕方があってしかるべきかな?と疑問を感じた次第。
話がそれました。本題のクラッシュのレビューですが、大変盛りだくさんの問題提起のある作品でした。私のアメリカという国に関する知識では全ては理解できないのですが、重いテーマを投げかけた作品であることは間違いないでしょう。だからこそ問題意識の旺盛なアカデミー賞選考委員が作品賞として選んだのでしょう。
一言で言えば、多人種国家アメリカの人種間の微妙な緊張関係を凝縮して表現した映画、となるのでしょうか。根底にあるのは人種間差別ですが、単純にされ抱けともいえない複雑さを私たちに教えてくれます。アフリカ系黒人、ヒスパニック、アジア人(中国人、韓国人)、アラブ人、ペルシャ人そして白人。露骨な差別もあれば、逆差別もあり。差別しながらも命は助けるシーン、差別を嫌いながらも、結局黒人を殺す白人。・・・・・・
超大国アメリカの抱える人種間の難しい緊張関係をほんの1日間の出来事の中で描ききっているのは、なかなか見事な脚本と演出です。
昨年のハリケーンカトリーナ」で鮮明になったアメリカ社会の大きな格差と暗部を思うにつけ、この国を理解することの難しさを感じざるを得ません。2月に見た映画「スタンドアップ」も、これがアメリカなの?と思ってしまうほど、不自由な社会の暗部を浮き彫りにしていました。アメリカって本当に世界一自由で素敵な国なんでしょうか?
最後に1つ。今年はやっぱり日本のアカデミー賞のほうがいい作品でした。
今日はこの辺で。