寺地はるな「私の良い子」

青山美智子さんの本を薦めてくれた青年から、寺地さんも薦められ今回呼んだのが「私の良い子」。

小山椿さんは二人姉妹の長女で、会社勤務をする31歳。椿さんの妹の鈴菜さんは、椿さんとは正反対の自由奔放型で、ある日子供を産むと言って父親と椿さんの住む実家に帰ってくる。誰の子供かも言わずに出産。最初は実家で子供の朔君を育てるが、朔が2歳の時に、これまた突然沖縄に行くと言って朔を置いて出て行ってしまう。そんな時父親が病気になったことから、朔を椿さんが育てることに。お腹を痛めた子供ではない妹の子供を育てることになった椿さんは、自分のアパートで必死に育児と仕事に追われることに。椿さんから見れば、自分の子供と何ら変わらないように頑張るが、周りからはいろいろの雑音が入ってきたり、恋人との結婚も引き延ばしてしまうことに。

親の都合で止むを得ずきょうだいが育てることはあるのでしょうが、世間一般的にはレアケース。そういう意味では、椿さんは立派な女性なのですが、逆に言えば鈴菜さんはとんでもない母親。最終盤で、朔の父親がDV男で、妊娠がわかったときには中絶しろといったため、別れて出産したことが明かされるが、それまでして産んだ我が子を置いて勝手に沖縄に出奔してしまうなどもってのほか。そんな妹に優しすぎる椿さんは人が良すぎとしか思えないのですが。

椿さんがいたからこそ、朔君は良い子に育ってくれたのか、育児をしたことの重みがあるから、結局本当の親に返すしかないことで、妹への嫉妬も大きいのか。どうも煮え切らない読後感が残りました。

今日はこの辺。