小野寺文則「いえ」

小野寺さんの作品3作目は、主人公の家族の物語「いえ」。

三上傑さんは、大学を卒業後スーパーに就職3年経過した25歳の青年。家族は高校の共闘を勤める父親の達士さん、母親の春さん、妹の若緒さんの4人家族。家は江戸川区の荒川沿いにあり、総武線平井駅から歩いて15分の一軒家。

この家族には一つの大きな事件があった。それは、妹が恋人の車でデート中に交通事故に会い、足を怪我して足を若干引き摺るようになったこと。その恋人は傑さんの親友であった大河君であったため、余計に家族の中でわだかまりができている。母親は大河を許せない、父親は許している、若緒さんも許している、傑はどっちつかず。

そんなこんなで、三上一家は一時母親が実家に帰ってしまい、変な状態になるが、最後は丸く収まる。その他傑さんの仕事場でのパートさんとの軋轢や、若緒さんの就活模様等、諸々エピソードが語られるが、基本的にはみんないい人で、頑張って仕事なり勉強なりに励み、人間関係や家族関係を築いていく。「いえ」とは、三上さん一家を指しているのだが、ただそれだけにとどまらず、家を取り巻く近所づきあいやそれぞれの人間関係を含めているのでしょう。小野寺さんらしい作品でありました。

今日はこの辺で。