Netfliksドキュメンタリー「イノセンスファイル」視聴。
冤罪に関するNetfliksドキュメンタリーの第3弾として「イノセンスファイル」全9話観賞。改めてアメリカにおける冤罪の多さと、雪冤の難しさを実感。
この番組は、1980年代にDNA鑑定が発達し、無実を訴えている収監者を救おうとして立ち上がった非営利団体イノセンス・プロジェクトと冤罪者を追ったドキュメンタリー。
いずれも警察・検察の杜撰な捜査や公判によって死刑や終身刑などの重い刑を言い渡された受刑者が、長い間刑務所から無実を訴え続け、イノセンス・プロジェクトが関わって無罪を勝ち取った物語を迫真力いっぱいに描写しています。
アメリカは世界一の犯罪王国で、刑務所の収監されている受刑者は220~230万人と言われています。日本が2万人強ですから2桁違う、まさに刑務所王国でもあります。この中のほとんどが正真正銘の真犯人でしょうが、母数が大きいだけ冤罪者も相当数いるといわれ、その数は正確にとらえられていません。ただ、イノセンス・プロジェクトには、受刑者から毎年4,000通以上の冤罪を訴える手紙などが届き、実際に着手しているのはほんの一部とのこと。ちなみに、2018年だけで151件の冤罪者が雪冤を果たしたというデータが番組でも紹介されています。古い数字ですが、2016年当時でDNA鑑定によって冤罪が晴れたのが364件、死刑囚が20件いたと言います。
アメリカのすごいところは、冤罪が晴らされた事件の当時の警察・検察官が実名・顔出しでインタビューを受け、未だに反省しない人は、深く反省する人の姿を映し出します。検察官が被告に有利な証拠を意図的に隠したケースでも、強硬に自分の正しさを臆面もなく主張したり、苦しい言い訳をしています。アメリカでは検察の不正行為が過去に16,000件発生していますが、罰せられたのは2%に過ぎないとのこと。これは日本も全く同じで、捜査や裁判過程で警察・検察・裁判官が罰せられたという話は聞いたことがありません。
もう一つ日本と違うところは賠償金の金額。中には20年強収監されて冤罪が晴れた人では、1,100万ドル、日本円にして12億円で和解した人もいます。なお、対応は州によって相当違い、中にはいまだ賠償をとれない人もいます。
日本ではほとんど損害賠償は取れていないのが現実。国家が責任を取りたくないのでしょう。
もう一つアメリカで特徴的なのは人種による冤罪の多さ加減。やはり黒人が冤罪を受けやすい傾向にあります。
前にも書きましたが、陪審員制度の危うさはここでも見られました。アメリカでも警察・検察に対しては市民が信頼感を持っていることが多く、特に田舎へ行けば行くほどお傾向が強くなるようです。したがって、警察・検察の言うことをほぼうのみにする傾向が強く、それをいいことに筋読みしてその通りに犯罪を組み立て、犯人まで作り上げることに対して疑いを持たないことがうかがわれます。
イノセンス・プロジェクトはアメリカ以外にも広がりつつありますが、日本ではまだできていません。足利事件はDNA鑑定で有罪になり、同じくDNA鑑定で冤罪が晴れた例ですが、プリジェクトとしての実績はありません。今後の日本でのイノセンス・プリジェクトを期待したいものです。
今日はこの辺で。