浅田次郎「天切り松闇語り第五巻 ライムライト」

浅田次郎先生のシリーズの最新刊、「天切り松闇語り第五巻 ライムライト」読了。
第一作を読んで感動してから何年がたつのか?とにかく抜群に面白いシリーズ。今作は、表題作をはじめ6作ですが、どれもはずれなし。目細の安吉一家のそれぞれが主役を張るオールスターキャストの作品集です。
目細の安吉、黄不動の栄治、説教寅、色っぽい振袖おこん、説教の寅弥、百面相の常次郎の6人の個性的な面々が、それぞれ主役となる話を、一番下っ端だった松蔵が過去を振り返って闇語りする展開は全四作と同じで、いずれも珠玉の作品。
さて、表題作の「ライムライト」は、チャップリンの映画でも有名。そのチャップリン滞在の事実を浅田次郎が脚色していました。歴史を紐解くと、確かに1932年5月15日、犬養毅首相が暗殺されるクーデター(5.15事件)の当日、確かにチャップリンは東京に滞在し、犬養首相と会う予定もあったようです。クーデター主防犯も世界的に有名なチャップリンも暗殺の対象にしていたことも事実のようです。小説では常次郎がチャップリンに扮装して犬養首相に会っていますが、実際は、気まぐれなチャップリンが、突然相撲を観たいと言いだし、相撲見学に行ったとのこと。その結果、チャップリンは事件に巻き込まれることなく、無事だったとのこと。
こうした歴史的な事実をうまく脚色しているところも、浅田次郎の真骨頂。恐れ入りました。
今日はこの辺で。