東野圭吾「夢幻花」、池井戸潤「ようこそわが家へ」

現在最も脂がのっている作家3人を挙げるとすればは誰かといえば、私的には浅田次郎東野圭吾、そして池井戸潤でしょう。浅田次郎は当代一のストーリーテラー東野圭吾は最高のミステリー作家、そして池井戸潤は痛快企業小説の第一人者。
今回読了したのが表題作2作。
夢幻花は、黄色い朝顔の花をキーワードに、一つの殺人事件の謎解きが展開されます。大学で原子力を学ぶ蒼汰と、水泳でオリンピックを目指す莉乃がコンビになって、謎解きに挑むのをメーンストーリーとして、刑事や肉親が微妙に絡む展開。深みには欠きますが、東野らしい読みやすい文体のため、一気に読ませます。まずは及第点。
池井戸の「ようこそわが家へ」は電車でマナーの悪い男を注意したばかりに、その男にストーカーされるとこから始まり、得意の企業小説が絡んで展開します。半沢直樹でも確か登場した「なかの電子」に出向した主人公の中年銀行マンの奮闘が、これもまた半沢直樹風に進みますが、半沢とは大きく違い、どちらかといえば消極タイプ。これがまた私には同類として共感が増しました。長いものには巻かれろとか、権力には逆らうな、ではありませんが、なかなかトップや声の大きな人には逆らえないのが現実。そんな状況をち密な調査で覆していく姿は、見習うべきことが多く、参考になりました。
今日はこの辺で。