矢部宏治著「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」

矢部宏治著「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」を読み終えました。今年の夏は戦争法案反対デモが全国で盛り上がりました。私も衆議院及び参議院の特別委員会での採決の日に国会周辺に行って、皆さんと一緒にシュプレヒコールをあげてきました。その後模範戦争法案の集会や講演会にも何度か出席しましたが、残念ながら自民党安倍内閣の支持率が急激に落ちて、内閣崩壊の雰囲気は全くありません。安倍内閣は、戦争法案可決後は経済にかじを切り、戦争法案を忘れさせようとしている模様。特に平和の党を標榜する公明党は、一刻も早く戦争法案の話題を消そうと必死で、創価学会の機嫌を伺い、消費税の軽減税率問題に話題を集中させ、自民党の譲歩を引き出しました。しかし、これも安倍政権のうまい操縦の賜物か?とにかく自公政権は車の両輪とまではいかないまでも、なれ合い協力関係が出来上がりました。来年の参議院選、否、W戦の可能性も大きく残した選挙がすでに始まったといってもいいでしょう。野党の体たらくも筆舌に尽きないありさま。
さて、標記著作は、米軍基地問題原発には同じ構造的な問題があると唱え、安保村と原発村を同一視しています。日米安保体制の構造的問題を、戦時中に米中首脳会談で出来上がった大西洋憲章にまでさかのぼって考察しています。日本がどうしていまだにアメリカの基地を抱え、特に沖縄の住民に苦労を押し付けているかを明確に説いています。国連憲章にある敵国条項がいまだに存在し、アメリカが日本を監視する体制が続き、日本もアメリカに軍事力を頼ってきた構造が、いまだに植民地的国家であることを説きます。
そして憲法問題。著者が端的にツボを言い当てています。日本国憲法に関する二つの事実、すなわち、
1.アメリカが作って日本に押し付けた。(歴史的に事実)
2.当時の日本人には到底作れなかった極めて民主的な憲法
この二つの事実が共存するがゆえに、憲法改正論議がまとまらないのだと。
フィリピンにあった米軍基地はなくなりました。ドイツ、イタリアにも米軍基地がなくなりました。なぜ日本だけにあるのか?冷戦時代のソ連、そして現在の中国。これへの恐怖心から日本はアメリカに頼らざるを得ないと、歴代政権はすがる思いでアメリカに追随してきたこと。
それではどうすればいいのか?答えは簡単です。
9条の条文で、紛争解決の手段としての戦争は放棄する、これはそのまま。
その代わり自衛の防衛軍は保持する。(これは今の現実)ただし、集団的自衛権は禁止する。
これで国際社会からも認められるのではないでしょうか。
今日はこの辺で。