映画「希望の国」

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今年最初の映画鑑賞は、園子温監督の「希望の国」。園監督作品としては、裸も暴力もない珍しい作品、なんて言うと叱られるかも?
福島第一原発事故を経験した日本のとある県、何年か後に再び同じような事故があったことを想定した物語になっていますが、実際には福一事故そのままを再現して、ある家族の生き様を描きます。
題材があるのでシナリオも案外楽に書けたのではないかと思うのは私だけかな?
私の隣で見ていた中年の女性は、途中から涙たらたら、鼻グズグズで、泣きっぱなし状態で見ていましたが、私の目からはなぜか涙が流れませんでした。「事実は小説よりも奇なり」ではないですが、映画にする以上に厳しい現実が毎日語られているからでしょうか。
気になったのが、息子夫婦との別れ。息子があまりにも素直でお父さん思いなところ。今時珍しい息子像を見ました。認知症っぽいお母さんが少し可哀想。
現実味があったのは、嫁さんが妊娠して、過剰に放射能を恐れるところ。これは実際に福島だけではなく、東京にもたくさん例がある話。私の身内にも、東京を離れて北海道に住む奥さんがいます。過剰反応として簡単に片付けられないし、笑い事にもできません。
残念なのが最後の銃声音。園監督らしいといえばらしいのですが、もうちょっと違う終わり方があったのではないか?
夏八木勲大谷直子の老夫婦は好演。特に大谷直子のボケ役はなかなかのもの。息子夫婦はどちらも演技的には?
園監督の他の作品と比べると、真面目すぎる感がありますが、ピカソは抽象画ばかり書いてはいなかったことを思い出させる、園監督作品でした。
今日はこの辺で。