立教大学「トランスナショナル・シネマ・シンポジウム」

本日、立教大学にて「トランスナショナル・シネマ・シンポジウム」なるイベントに参加。要は映画を見て、監督や出演者とトークを繰り広げる催し物。
一本目の映画は「TESE」。在日朝鮮人三世のサッカー選手、チョン・テセ選手を追い続けたドキュメンタリー。チョン・テセフロンターレ川崎でプレーしていたストライカーですが、韓国籍を持ちながら、北朝鮮代表として南アフリカワールドカップに出た選手。韓国籍北朝鮮代表?これが韓国と北朝鮮、そしてFIFAの複雑な代表認定のわからないところ。韓国と北朝鮮は一つの国であり、韓国籍を持っていることはすなわち北朝鮮人でもあること。そしてFIFAは国に限らず、地域にも参加資格を与えており(たとえばイギリス内のイングランドスコットランドウェールズなど)、チョン・テセ北朝鮮のパスポートを取れれば北朝鮮代表にもなれる仕組み・・・。複雑で分かりずらいですが。
さて、チョン・テセがなぜ北朝鮮代表になることを選んだのか?映画では母親の強い北朝鮮への愛国心から息子もそれを望んだとなっています。父親は日本人学校へやり、日本人として生きて欲しかったようですが、母親が朝鮮人学校に入学させ、朝鮮語を学ばせ、朝鮮人として生きることを熱望したようです。チョン・テセと対照的なのが李忠成。彼は日本人学校に通い、日本国籍をとり、日本代表となりました。ドキュメンタリーの中で愛知朝鮮総連の懇親会の模様が映っていましたが、やはりみなさん大変な北朝鮮への愛国心を感じさせました。拉致問題や核問題など、国際社会から孤立している北朝鮮ですが、祖国を思う在日朝鮮人の思いは簡単には崩れないことを実感しました。
こう一本の映画は、「ワンドゥギ」というドラマ。何となく印象に残っていましたが、見ているうちにやはりどこかの映画館で見ていた映画でした。足の不自由な父とフィリピン人の母の間に生まれた主人公のワンドゥギと彼の教師や両親を中心に描いた優秀作。韓国においても少子化が進み、合計特殊出生率は日本以下。都市への人口流入が増えて、地方の農村では嫁不足となり、4割が外国人のお嫁さんとのこと。しかし、韓国でも純血主義的な習慣が強く、東南アジア系の人への偏見は大きかったようです。そんな中で、フィリッピン系の母はワンドゥギが幼いころ家を出て、大きな負い目を追っている姿が映し出されます。その母を演じたフィリピン女性が今では国会議員になっており、会場に来ていて、上映後のトークショーに参加したのですが、残念ながら私は別の予定があるため、会場を後にしました。
今日はこの辺で。