ノーベル賞の価値

今週は日本に久しぶりのおめでたいニュースが飛び込んできました。そう、二人の日本人のノーベル化学賞の受賞が決まりました。根岸教授と鈴木教授。炭素化合物の結合(カップリング)に、画期的な方法を考案したというのが受賞理由。いずれの研究も、既に30年以上前の功績。そしていずれもアメリカへの留学経験あり。2年前の3名の受賞に続いての複数受賞者。まことにおめでたいことです。
科学系のノーベル賞受賞者の数は、アメリカの234名をダントツに、イギリス、ドイツ、フランスが後を追っていますが、日本も存在感を示してきました。ノーベル賞候補の推薦や選考の舞台裏には、いろいろなドラマがあるようですが、何と言っても世界最高峰の勲章。今後の日本人の「受賞運動」にも期待したいところです。
さて、昨日はノーベル平和賞に中国の人権作家であり活動家の劉暁波氏の受賞が決まりました。今までも、何かと物議をかもしてきた平和賞ですが、今回も中国政府の対応振りは極めて神経質。アメリカや日本のニュース番組での受賞の報道を消したり、インターネットの検索を出来ないようにしたりと、大変な苦労がうかがわれます。これも、体制維持を最優先した措置とのことで、人権政策の遅れた、いわゆる一党独裁の窮屈な国家体制に同情を覚えます。特に、ノルウェー政府に対して、劉氏を選考しないように圧力を掛けていた、との報道もあり、ここでも大国となった中国の覇権主義が垣間見えます。
ただ、中国は13億の国民と、その国民を分断する格差の拡大という難題を抱え込んでいます。既に日本以上に資本主義化しつつある経済の下で、政治的にも民主化されたら現政権の崩壊だけではなく、いわゆる易姓革命が起こりかねない不安があります。こうした体制矛盾こそ、同情すべきことであります。
今日はこの辺で。