映画「キャタピラー」

「実録連合赤軍浅間山荘への道程」で連合赤軍のリンチ事件を赤裸々に描いた若松浩二監督の反戦映画「キャタピラー」を女房と一緒に鑑賞。
寺島しのぶが渾身の演技を見せ、ベルリン映画祭の主演女優賞を獲得したことから話題性も増し、新宿の映画館は、中高年以上の観客を中心にほぼ満員。
太平洋戦争で四肢を失い帰還した夫の世話を続ける妻が寺島しのぶ。こんな身体でどうして帰ってきたのか!誰でもそう思うような姿。しかし、その夫は軍神と崇められ、妻は必死に世話をします。四肢はないものの、性欲が強い夫に身体もささげますが、次第にそれが重みになっていく・・・・
戦争がなければこんなことにはならないことは言うまでもありません。しかし、子供を生めない妻は、出征以前から夫に暴力を振るわれており、戦場でも彼は現地中国人にひどいことをしてきたのが、フラッシュバックで表されます。
反戦映画として、若松が訴えていることは十分に理解できます。理解したうえで敢えていえば、現代社会の介護問題、すなわち障害者や高齢者の世話をする身内の反感が聞こえるような映画でもありました。
100歳以上の高齢者が多数行方不明となっている問題。身内のものは「何で100歳まで生きるのか」といった排除の論理を持つ様な悲しい社会にならなければよいのですが。
今日はこの辺で。