坂口弘「あさま山荘1972」上・中・続

連合赤軍事件の死刑囚である坂口弘著「あさま山荘1972」上・中・続を読みました。
上巻は山岳ベースのリンチ事件やあさま山荘事件が起こる前までの、連合赤軍が誕生までの数年間の坂口が関係した事件を追い、下巻、続巻があさま山荘立てこもりとリンチ事件を生々しく描いています。この内容はほぼ映画「実録連合赤軍あさま山荘への道程」に合致しており、特にリンチ事件の生々しさが証明されています。
総括リンチについて、坂口は森恒夫共産主義化理論の産物であると定義づけてはいるものの、誰が読んでもこの理屈は分かりずらいものでしょう。裁判官が結論付けた「森恒夫永田洋子という二人の指導者が主導し、それに逆らえない状況が生まれてしまい、みんなが加担していった」という構図が最も分かりやすいものです。坂口には未だに被害者意識があり、何とか難しい理論付けをしているしか思えない部分が読み取れます。
それにしても、森=永田の独走を何故誰も止められなかったのか?特に罪が重いのはやはり坂口でしょう。彼にもう少し勇気があったなら?
歴史に”もし”がないように、連合赤軍にも”もし”は存在しなかったのでしょう。
今日はこの辺で。