佐々木譲「警官の血」

佐々木譲「警官の血」。終戦直後の昭和23年から平成19年までの約60年間に及ぶ、親子3代にまたがる警察官の壮大な物語。
安城清二、民雄、和也という親子3代の警察官が、警察組織と地域住民の関わるを綴りながら、清二が遭遇した2件の殺人事件を、息子の民雄、そして孫の和也までが引きついでいきます。正に血の連鎖。
上下巻、800頁近い大作のため、焦点がどこにあるのか、若干わかりにくいところもありますが、「警官の血」と言うのは、非常に特異なものであるような印象を受ける小説です。
三人とも、真面目な人間であるだけに、民雄は公安スパイのストレスから精神を病み、妻に暴力まで振るう警官であり、和也もまた上司を観察する役割を担い、孤立する存在になります。結局、早世しましたが、清二が最もまともな人生を歩んだと言えるのでしょうか?
今日はこの辺で。