栃木19歳少年リンチ殺人事件に思う

昨日東京高裁で、8年前に起きた栃木リンチ殺人事件での警察の責任を問う民事裁判が判決があり、一審宇都宮地裁での認定額9,900万円の1/10の金額の判決となった。一審とのあまりにもかけ離れた金額のずれ、というよりも責任の認定度合いのずれの大きさに驚くとともに、改めて裁判のいい加減さ、主観的な側面が浮かび上がりました。
この事件は、日産自動車に入社して間もない被害者の少年が、警察官を親に持つ非行少年ら3人に恐喝・監禁され、700万円もの遊興費を奪った上に、警察にばれるのを恐れて殺害した極めて悪質な少年事件でした。私も両親の書いた本や、黒木昭雄氏の著作を読みましたが、熱湯を浴びせたり、殴ったりけったりの凄まじいリンチの挙句に殺すという、人間とは思えぬ所業が繰り広げられました。そしてそれに輪をかけたように頭にきたのが、両親の訴えにもかかわらず、全く動こうとしなかった警察の不実の罪です。これは埼玉桶川の女性脅迫殺人事件でも一緒でしたが、結局ことが起こってから警察がマスコミや世間の批判に耐え切れずいやいや謝罪し、ほとぼりが冷める頃に行われる裁判では再び自己防衛に走るという、いつものパターンを繰り返します。
それに耳を傾けてしまう裁判官もまた、だらしのない判決を下すのです。警察の仕事の最も大きな使命は「防犯」のはずです。犯罪を防ぐのが仕事なのです。犯罪が行われている、または行われようとしている場合には、それを防ぐのが仕事なのです。それを怠った警察に大きな責任があることは自明の理なのです。19歳のまじめな少年の生命は1億円でも買えない高価なものです。それがたった1,000万円ちょっとに何故減額されるのでしょうか?全く理解できません。裁判官もまた、ただ判決を下すだけでなく、防犯、犯罪抑止の使命を負っていることを認識しなければなりません。
被害者、須藤正和さんのお父さん、是非最高裁で警察の責任を大きく追求してください。そしてマスコミは、過ぎた事件だからといって簡単に扱わず、もっと声高に警察の不実の罪を問うべきです。さもなければ再び同じ事件が起こらないとも限らないのです。
主犯格の男の父親は当時警察官でした。果たしてどんな警察官だったのか?当時父親が警察官だから、警察自体も動きずらかったといった報道もありましたが、この辺のところは明らかになっていません。
いずれにせよ、父親失格であれば警察官としても失格の人間なのでしょう。
今日はこの辺で。