「国家の品格」を読んで

2日間続けてサボってしまいました。昨日は飲み会で遅くなり、一昨日は家で仕事があり時間がありませんでした。これは自己反省。
大ベストセラー「国家の品格」を読みました。藤原正彦氏はいわずと知れた数学者。と言っても私が藤原氏を知ったのは、お恥ずかしながらつい最近のこと。小川洋子原作の映画「博士の愛した数式」を観て数学に興味を覚え、小川洋子藤原氏の共著「世にも美しい数学の話」を読んでから。そして数学者でありながら、現代社会、現代日本の形に苦言を呈している知識人であることを最近知った次第です。数学者は古来より真理を追究する哲学者でもあったのですが、社会にものを言う数学者がいることを頼もしく思う次第です。
彼はこの本の中で、日本社会を支えてきた「武士道精神」が失われつつあることに危機感を抱いています。ここで言う武士道精神とは、敗者への共感、劣者への同情、弱者への愛情であり、これらが失われてきた現代の日本社会に警鐘を鳴らしています。確かに今話題の「格差社会」は、勝者と敗者の断層が広がり、弱者切捨てが進んでいます。私は、この格差が小泉政権の政策の結果とは決して思いませんが、ただ、格差が広がっていることだけは事実です。ちなみに1億円以上の金融資産を持つ世帯が72万世帯、一方年収170万円以下のフリーターが400万人と言うデータもあり、この分断は更に広がっています。東京の足立区では、就学費援助家庭が42%とのデータもあります。
更に彼が言うのは子供の教育です。小学校への英語教育の本格導入が決まったようですが、彼は断固反対します。日本語も満足に話せない人間が英語を話せても外国には通用しないと言い切ります。これもまた説得力があります。こうしてみると、日本のよさがどんどん失われていき、どうなってしまうのでしょうか。藤原氏は、最後に日本の自然の美しさと、情緒性、道徳に期待していますが、一度壊れたものを取り戻すのは、非常に難しく、長い時間がかかるものであることは確かです。
そんな訳で、この「国家の品格」には共鳴するところが多々ありました。
明日は尊厳死について。
今日はこの辺で。