映画「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」

アメリカの闇というべき白人警察官による黒人への暴行・殺人がいまだに後を絶たない。本作「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」は、2011年11月9日にニューヨークで実際にあった事件を、90分という実際の事件の時間過程をそのままノンストップで撮り上げた白人警官による理不尽な住居侵入・暴行・殺人事件の実写化映画をシネマカリテにて鑑賞。

70歳の元海兵隊の黒人老人,、ケネス・チェンバレン氏が自宅アパートの部屋で、誤って警備会社に通じる警報を鳴らしたのが始まり。老人は心臓の持病があり、かつ、かつて警官に対して苦い思い出があり、それがトラウマとなっているような方。警備会社から警察に見回りの依頼があり、3人の白人警察官が現場の部屋に向かう。老人はかつてのトラウマの影響もあり、鍵を開けずに部屋から誤報を鳴らしただけと答え、帰ってもらうように言うのだが、警察官はこの地区とアパートが犯罪の巣窟になっているという先入観から、犯罪現場ではないかと疑い、最後は応援も頼み、扉を強引にこじ開けることまで行う。一人の警官は、違法行為だと訴えるが聞きいれてもらえない。二人の悪質警官は「ニグロ」という言葉まで使い部屋に侵入し、最後は拳銃がさく裂して画面は暗くなりジ・エンド。

先日関東大震災時に発生したた「福田村事件」を鑑賞していましたが、二つの映画に共通するのが、差別意識に基づく強烈な先入観と、人を人とも思わない傲慢さだ。

エンドロールで、警官は誰も処分されなかったとのこと。ジョージ・フロイト事件のように、映像によるあからさまな証拠がない限り、オバマ大統領時代の事件であっても、処分されないという無念さが胸にこみあげる事件であり、強烈な印象を刻み込んでくれる作品でありました。

今日はこの辺で。