ドキュメンタリー映画「LA92」

アメリカ、ロサンゼルスで1992年に起きたロサンゼルス暴動を描いたドキュメンタリー映画「LA92」をNetflixにて視聴。

1992年ですからまだ28年前で、日本ではバブルのはじけつつあった時期で、そんなに昔のことではないのですが、これほどの暴動であったとは知りませんでした。

今では世界中のニュースがBSなどでよく観れるのですが、当時はそんなに大きな事件として報道があったのか、記憶にありません。死者が50人以上出たほか、10億ドルの損害が出た、アメリカ史上最大の暴動事件。

暴動のきっかけは、黒人の住民ロドニー・キング氏がスピード違反で捕まり、白人の警官からひどい暴行を受け、その場面を近くの住人が撮影し、映像が公になり、結果警官4人が裁判にかけられるも、全員無罪の陪審員評決を受けたこと。

暴行場面は確かにひどいもので、警棒で手を抜くことなく、思いっきり54回殴りつけるというすさまじさ。キング氏は瀕死の重傷を負います。そんな犯罪行為が映像という証拠で残っており、また普段から黒人が警察官からひどい扱いを受けていたことなどから、黒人の怒りは膨れ上がっていました。

裁判の陪審員は白人が12名中10名おり、評決は無罪。この評決を契機として、不満が爆発し始め、みるみるうちに暴動が膨れ上がっていったという経緯をたどりました。黒人が多く住んでいたダウンタウンを中心に暴動がおこったのですが、そこのは韓国系アメリカ人もたくさん住んでおり、韓国系と黒人間の民族的な軋轢もあり、暴動直前には韓国人店主が万引きしたと思われた際の黒人少女を銃で殺害した事件もあり、この判決が執行猶予と罰金であったことから、暴動の矛先が白人と韓国人の商店などの集中したという事実も知りました。暴動の最中でも記者が黒人にインタビューし、その中で、白人は「日本人にものを売り渡し、韓国人は黒人を馬鹿にする」といったことを口走りますが、当時日本はバブルで、ロックフェラーセンターなどを日本の企業が買っていた時期でもあります。

このドキュメンタリーは、当時の映像のみを使い、迫真力に富む作品となっています。そして、1966年当時の映像も出てくるのですが、30年近くたっているにもかかわらず、こと人種座別に関しては、何も変わっていないことが暗示されます。

暴動をきっかけに、ロドニー・キング氏暴行事件の再審され、2名は有罪、のころ2名は無罪となり、キング氏には382万ドルの賠償金が市から払われます。日本円で4億円ですからすごい金額です。

当時の田尾棟梁はブッシュ父さんの方。彼が暴動について演説するのですが、黒人の痛みなど全くわかっていないような言葉が並び、記者から批判のコメントもありました。

アメリカは現在世界一のコロナ感染国となっておりますが、最も感染が多いのが黒人と言われます。未だに黒人が弱者であることに変わりがありません。30年近く経過してもまだ人種問題は解決していないと言った方がいいかもしれません。

今日はこの辺で。