ドキュメンタリー「自白映像ファイル」

新型コロナの感染拡大でリモートワークが普及したり、リモートワークと称して自宅待機が多くなるなどで、朝夕の通勤電車は大分空いてきて、通勤者にとっては楽になりました。

一方、在宅勤務や休校などにより、自宅内での家族の密接度が高まり、昨日の朝日新聞夕刊では、夫婦の離婚増加を懸念する記事が一面に載っていました。中小企業などはまだまだ在宅勤務のシステムがなく、自宅待機の状態の方も多いと思いますが、外出自粛もあるため、自宅内での密接=夫婦げんか、ひどい場合は虐待的な行為が多発することは十分に考えられます。私も週に2日~3日在宅となり、女房との会話に戸惑っているのが実態。会社が如何に居心地がいいかが実感する今日この頃です。ちょうど3年前に自宅建て替えのため半年弱狭いマンションに仮住まいしたことがあったのですが、あの時でなくてよかったとつくづく思います。我が家は会社員の息子と3人家族なのですが、当時借りたのが2DKの狭いマンション。息子も現在在宅勤務のため、狭い中に3人が一日中暮らすのは想像もできないほど苦痛だったでしょう。

今は幸い別々の部屋でできるだけ干渉しない生活ができるので、何とかトラブルなく過ごしています。

さて、そんな在宅時の過ごし方ですが、どうしても興味のある映像視聴が多くなりがち。先日観たアメリカの冤罪事件「エイブリー事件」のドキュメンタリーの続き、Netfliksオリジナルドキュメンタリー「自白映像ファイル」全12話を視聴しました。日本でも自白が物的証拠よりも尊重される傾向があり、それが冤罪を産む最大の要因になっていますが、これは日本だけの話ではないようです。アメリカでは警察の取り調べが相当程度可視化され、それが裁判の証拠となっている現状があります。このドキュメンタリーは、殺人事件の容疑者が自白する場面が録音・録画され、それが陪審員裁判で決定的な証拠となってしまい、もしかしたら真犯人を取り逃がしている可能性が大きいことを訴えるものです。

確かに映像を見ると暴力的な取り調べはどこにも見えません。ただし、取調官が複数人いるとか、誘導的な尋問があるとか、「話したら楽になる」など、言葉巧みに自白を誘い込む取り調べに乗って自白してしまうケースがほとんどです。問題なのは、検察側が都合のいい場面だけを切り取って陪審員に見せてしまうところです。否定している場面はほとんど見せないところに大きな問題があります。客観証拠がなく、状況証拠だけの場合には自白が最も強力な証拠として陪審員の頭に刷り込まれ、結局有罪判決になってしまうパターンです。

なぜあんなに簡単に自白するのか、やっていないなら否定するはずだというのが、一般の人の常識なのはわかりますが、映像を見せられると、陪審員は余計真犯人と思ってしまうようです。

アメリカでどれだけの冤罪被害者がいるかわかりませんが、このドキュメンタリーで容疑者を弁護する弁護士が盛んに言うのが、「アメリカの司法制度は優れていると言われるが、実態はそうではない」ということです。

日本でも栽培員制度に引っかかるような重大事件については全部可視化が行われていますが、映像すべてを見ない限り信用性に疑いがあります。検察の都合のいい自白場面だけを見せられて納得してはならないと強く思いました。

今日はこの辺で。