映画「熊はいない」

イランの反骨の映画作家、ジャファル・パナヒ監督の不思議な映画「熊はいない」を下高井戸シネマにて鑑賞。パナヒ監督は、イランの反体制的な作品を作ることから政府ににらまれ、有罪判決を受け、映画製作を禁じられている身。それでも反骨精神で撮り続けているところは、到底まねのできないことで、頭が下がる思い。

本作の不思議なところは、フィクションなのかノンフィクションなのかが判然としないところ。勿論フィクションなのでしょうが、題材がイランを脱出したい二つのカップルを描き、監督自身が国境に近い田舎の村を拠点に、リモートで監督業務を行っていること。これは正にノンフィクションスタイル。したがって、特にパナヒ監督が身を寄せる村の村民たちが役者さんなのか、実際の村民なのかも混同してしまいそうな臨場感がある。

結局二つのカップルに待ち受けるのは、救いようの無い死という最後。これを描くことこそが、がんじがらめに縛られた国民の自由を批判するパナヒ自身の思いなのでしょう。

今日はこの辺で。