一週間ほど前になりますが、6月16日に武蔵野館にてアメリカ映画「ソフト/クワイエット」鑑賞。この映画は、最初から最後までカットがないワンカット映画で、時間の切れ目がない映画。どうやって撮ったのか、あるいは編集したのか不明ですが、その作風には引き付けられ、映画としてはよくできた作品ながら、話の内容は胸糞が悪くなるほどのヘイトクライム映画。アメリカの差別社会を「これでもか」という感じで描いています。
最初の場面は、金髪の白人女性がトイレで何か試験器をもって検査しているところ。すぐに妊娠していないことがわかり、ストレスが溜まっていることがわかります。その女性は幼稚園の先生をしていることもわかりますが、黒人の女性が大きな音を立てて掃除用具を運んでいることに腹を立てる場面から不穏な雰囲気がただよいます。カメラはその女性を追い、一軒の家に行き、そこで白人女性6人が集まり、有色人種に対する胸糞が悪くなるようなヘイトが始まります。ある女性は管理職に登用されたのがコロンビア人で自分が外されたことを訴えます。どう見ても管理職には不向きな女性で、全くの逆恨みなのだが、集まった女性はみんな何らかの鬱屈した感情があるため、彼女に同情が集まります。こうして各自が自己紹介と、ヘイトを順番に披露していく。ここでのリーダー役は、招集をかけた最初の金髪女性。この集会の様子を聞いていたこの家の男性が、すぐに出て行ってくれというのは理性の表れ。彼女たちは参加したスーパーのオーナーの店に行くことに。そこでアジア系の女性客二人が買い物に来たのですが、人種差別丸出しで「あなたには売らない」という発言。アジア系女性が一番高級なワインを買ったことから、彼女たちはそのアジア系女性の家に押しかけることに。そこで凄惨な行為が行われるのですが、そこでのリーダーは、6人の中で最も貧しそうな女性。最初のリーダーはおろおろするばかりで、地位の逆転がお声います。彼女らは二人を殺してしまい、池に死体を棄てに行く。そして最後は殺したと思っていたアジア系女性が生きて浮かんできて映画は終了。アランドロンの「太陽がいっぱい」のラストを思い出すようなエンド。6人の極悪な犯罪が明るみになり、彼女たちの未来がなくなることを予想させる内容。
この映画を見て、ヘイトがいかに見苦しいものか、アメリカ社会がいかに分断しているかが、なんとなく想像されます。まず浮かんだのがトランプの顔。本当に見苦しい。
日本でもヘイトスピーチに集う人が、普通の主婦やサラリーマン風であるとも聞きますが、心の歪みを持っているとしか思えません。
貴重な映画を見せてもらいました。
今日はこの辺で。