映画「第三夫人の首飾り」「あなたの名前を呼べたなら」

先週末はギンレイホールにてアジア映画ニ題。

ベトナム映画「第三夫人の髪飾り」は静かで、風景画を思わせるカットが美しい映画。ただし、内容は非常に残酷な映画でもあります。いかにも女性監督の作品と思われます。

19世紀のベトナムは一夫多妻の世の中。すでに第二夫人までいる大地主のところに嫁いできた14歳の少女が求められるのは男児を産むこと。第一夫人には長男がいるものの、第二夫人には3人の娘しかおらず、男を産むことが何よりも求められる残酷。日本の皇室のようなもの。第三夫人となった少女は無事妊娠するものの、生まれたのは女性。第一夫人の長男は第二夫人に恋して、顔も見ずに嫁いできた少女を拒絶。この映画のもっとも残酷な場面が描かれます。セルフも少なく静かな映画ですが、なぜか眠気を催すこともなく、ひきつけられる映画でした。かつて見たフランス映画の「幸福」と言う映画にどことなく似た雰囲気を持つ映画でした。ベトナム映画は初めての鑑賞だったと思うのですが、案外エロチックな場面もあり、R15指定。本国では上映中止になったとのことです。

インド映画「あなたの名前を呼べたなら」もまた、社会の差別と言うテーマを扱っています。若くして未亡人となり、ムンバイに出てきてメイドとして働くラトナはファッションデザイナーになることが夢。彼女が働くのは、結婚寸前で破談となり、一人暮らしをする上流階級の若い男性。二人は身分制度が厳然とあるインド社会の中、惹かれあっていくが、実現するはずもなく・・・・。身分制度がある中、決して男性の家族や社会に認められるはずのない二人の関係をラトナは十分に承知しており、自ら去っていく。この映画も女性監督が作っており、身分制社会への批判を鈴鹿に訴えています。男性もニューヨークに旅立ちますが、彼からの電話で、今まで「旦那様」としか言えなかった彼に、初めて「アシュヴィン」と名前で呼びます。原題が「SIR」(旦那様)ですが、この日本語のタイトルは秀逸に思いました。彼女がファッションデザイナーとして自立し、二人が結ばれることを願いましょう。

今日はこの辺で。