道尾秀介{カエルの小指」

道尾秀介氏の詐欺を題材にした「カラスの親指」がシリーズの第一作なのですが、本当はカラスを先に読めばよかったのですが、順序が逆になり「カエルの小指」が最初になってしまいました。順番通り読んでおけばよかったとは思うのですが、本作もそこそこの面白さを味わいました。

かつて詐欺を生業にしていた武沢武夫は、今ではスッパリ足を洗い、実演販売士をスーパーなどでやっている50代の男性。彼がジューサーの実演販売を口八丁でやっているところに、中学生らしき女性徒が現れ、商品にケチをつけ、うまく売れないところから話は始まる。何だかんだ話をしているうちに、キョウと名乗る女性徒が販売士の弟子にしてくれと言い出す。何か事情があると察した武沢は家に連れてゆき、奇妙な同居生活が始まる。女性徒は販売士を猛特訓してテレビに出演し賞金20万円を獲得してある男に復讐を果たすのだと語る。今日の母親は男に騙され1千万円近い金を奪われ、祖父が経営する事業が倒産し、母親は自殺したという。キョウはナガミネという詐欺男に復讐するため、その居所を探す資金を得るため、販売士の技を身に着けテレビに出演し、賞金を得たいと話す。武沢はその話に乗り、復讐の手助けをすることに。但し、テレビ出演は直前のところでスポンサー判断でおじゃん。武沢は仲間のやひろ、まひろ、貫太郎、てつを結集して、キョウと母親を不幸にしたナガミネという今日の父親と思われる人間への復讐が始まる。

しかし、この復讐劇には武沢とキョウもまた騙しあいをしたという落ちが付く。キョウの母親は、実はかつて武沢が彼女が自殺しようとしたところを助けた寺田未知子であることも判明し、キョウは、もし武沢が母親を助けなければ自分の今の不幸はなく、ナガミネと同時に武沢にも復讐したい気持ちがあった。更には、キョウは自分を身ごもったときに母親を棄てた瀬谷ワタルというタレントをも憎んみ、復讐を企てていた。

それに対して武沢は、ナガミネがどこかで生きているものの探し出すのが難しいため、役者を仕立てて復讐したように見せかけることを企み、キョウは実の父親たる瀬谷ワタルを探し出して彼に復讐することだったのであった。結局誰も死ぬことなく、キョウと瀬谷ワタルの関係も復活しそうなところでお話し終了。

今日はこの辺で。