今年の映画鑑賞を振り返る(2)

モロッコ映画「青いカフタンの仕立て屋」:珍しいモロッコ映画ですが、情緒ある映画。夫婦は結婚衣装など、伝統的で豪華な衣装の仕立て屋を営むが、子供はおらず、奥さんは何やら病気がち。伝統的な技を継承するため若い男性を雇い、彼はなかなかの腕を持つ男。但し、仕立て屋の旦那はホモで、雇った男もホモ。妻は次第に孤独感を深めてしまう。そして最後は悲しい別れが待っている。LGBT関連映画全盛の今、本作もそれが一つのテーマとなっている。

「キャロル・オブ・ザ・ベル」:ホロコースト関連映画で、ポーランドが舞台。ユダヤ人の持つ家には、ポーランド人とウクライナ人が店子として暮らしている。やがてドイツ軍やソ連軍が侵攻してきて、ユダヤ人とポーランド人の家族の親は連行され、ウクライナ人がその子供を預かって育てるという複雑な映画。

「リビング 生きる」:黒澤明の「生きる」のイギリス版リメイク。脚本をノーベル賞作家のカズオ・イシグロが担当。ほぼほぼ黒澤版を踏襲する形で、ビル・ナイ志村喬に負けず劣らずの名演技。時代設定も原版と同じ戦後まじかの時期の設定で、当時の雰囲気がよく表現されていました。

「ウーマン・トーキング 私たちの選択」:南米コロンビアで実際にあった事件を再現した映画。ある村では、男性が女性を強姦することが習慣化し、それに対して誰も罪を問わない習慣が常態化。これに疑問を持った有志の女性たちが、正に集まって「トーキング」を重ね、村にとどまってこの状態に甘んじるか、村からみんなで出ていくかをトーク。結論は村を去ること。閉鎖社会におけるジェンダー不平等はすさまじいものでありました。

「波紋」:私の好きな筒井真理子さんを主人公に迎え、老老介護障碍者差別、新興宗教など、現代社会の抱える問題が主人公の主婦に襲い掛かってくる過程を描き出す。自分お実父の介護を押し付けて失踪した夫が十数年ぶりに帰ってきて、ガンになったので治療費を援助してほしいと理不尽な相談。こんな男を相手にしたくない、宗教にすがりたいと引き込まれるが、その宗教はインチキ詐欺集団。それでも筒井さんの笑顔は素敵でした。

「苦い涙」:有名映画監督の男性のところに親友の女優が美しい青年を連れて訪ねてくる。男性はその青年に夢中になり、青年の手助けを何でもするようになる。次第に青年に弄ばれるように翻弄され、気が狂いそうになるほど。喜劇なのか悲劇なのか?主題はLGBT(ホモ)の映画と捉えればいいのか?私には意味不明な内容でありました。

今日はこの辺で。