東欧映画二題、「聖なる犯罪者」「SNS」

ポーランド映画「聖なる犯罪者」をギンレイホールにて鑑賞。ポーランド映画というと、アンジェイ・ワイダ作品を代表として、名画を生んできましたが、独特と雰囲気を持った作品が多い。本作も、暗い中にも希望と言えるようなものを感じさせる作品となっている。

少年院を仮退院して、田舎の製材所に勤務する予定であった青年が、ひょんな拍子で教会の司祭になることになり、少年院時代に個性的な新婦からミサを受けたことを真似して、司祭に成りすますことになる。その村では、7人が亡くなる交通事故があって、その真実が未だ明かされていない状態だったことから、主人公のなりすまし司祭の青年が、その事故の真相を明らかにし、村八分状態になっていた7人のうちの一人の葬式を出そうとする。そうした過程で、なりすまし青年が真っ当な社会に一員となるきっかけを掴もうとするのだが、結局最後は身分がばれて少年院に逆戻りの運命をたどる。

とにかく青年役の俳優の表情が抜群に不気味なのであるが、その表情が微妙に変わっていくところが見もの。あまり期待していなかったのですが、見ごたえのある作品でありました。

映画「SNS」は大変珍しいチェコドキュメンタリー映画で武蔵野館にて鑑賞。「聖なる犯罪者」に続く東欧映画で、やはり独特の雰囲気がある作品。長くソ連圏にあった影響もあるのか、完全に西欧的な雰囲気とは一味違う匂いのようなものを感じます。

SNSの出会い系サイトで、12歳の少女役を20歳の女優三人が演じて、どのような相手がアクセスし、どのような会話や行為が繰り広げられるのかを赤裸々にする試みの作品。やらせはないと信じますが、これが実態であればSNSの怖さを痛切に感じるし、児童との性交渉を望んでいる男たちがいかに多いかを証明しています。中にはまともな会話をする人もいるのですが、その場面では、それがあまりにも意外であることから、女優さんが涙を流して感動する姿も描かれます。

実際にオフ会的に逢う場面の隠し撮りもありますが、これはどう見てもルール違反ではないかとも思える場面。犯罪を誘導しているようなもので、製作意図を疑う場面ですが、つられる方が悪いと言えばそれまで。

全体的に気色の悪い場面が多く、救いのない映画でもありました。

今日はこの辺で。