映画「あしたの少女」

本日はシネマート新宿にて韓国映画「あしたの少女」鑑賞。韓国で法律改正の切っ掛けにもなった話題の映画で、韓国の過酷な競争社会と労働環境を厳しく糾弾する内容。

韓国の一流大学への厳しい入試競争はあまりにも有名ですが、高卒で就職する生徒ももちろん存在し、彼らもまた厳しい就職競争にさらされているとは。本作の第一部の主人公は、そんな高校3年生の少女。ダンスが好きな明るい少女ですが、学校から職業実習で紹介荒れたのが通信会社の下請けのコールセンター。コールセンターの電話の繋がりに難さは私もよく経験しますが、そんなときはイライラが募ります。そんな顧客を相手にするコールセンター業務の困難さはよく語られますが、本作の現場は厳しいノルマが課され、達成できなければ実習生でも叱責され、管理職は本社との板挟みになって自殺するような職場。少女はそんなノルマに疑問を感じ上司と衝突し、いわば行き場を失って自殺に追い込まれる。第二部はペ・ドゥナ扮する刑事が、少女の死の真相を追ううちに、学校の進路指導、実習生を受け入れる企業の利益優先主義、国の教育方針や労働環境の監視など、韓国社会の抱える問題を浮き彫りにする。

観ていて何とかならないのか、関係者をもっと処罰できないのかと、怒りでつい感情が高ぶってしまう内容でした。

日本では外国人技能実習制度が社会問題化していますが、高校生のこうした実習制度は耳にしないので大丈夫かと思いますが、韓国でこの自殺事件があったのが2016年。その後同じような自殺事件があって法案が議会に上がったようですが、ずっと棚上げされ、ようやく本作が話題となったのを切っ掛けに、実習生を受け入れる企業の責任を強化末う通称「次のソヒ防止法」(ソヒは本作で自殺した少女の名前)が成立したとのこと。

一人当たりのGDPが日本を追い抜いた韓国ですが、その成長を支えているのが、厳しい職場環境で働く女性たちにあるような気もしてきました。

今日はこの辺で。