石川智健「ニジュウ 誤判対策室」

石川智健氏の作品を読むのは初めてで「ニジュウ 誤判対策室」は、現在話題となっている木原官房副長官の妻が関係したかもしれない夫の死に関する事件?も捜査したような過去の殺人事件で冤罪の可能性がないかを精査し、可能性があれば再捜査するような部署、誤判対策室」を舞台にしたサスペンス小説。

本作の事件は、過去の事件ではなく、現在進行形の事件で、犯人は元裁判官が男を殺したとして自首し、その後否認した事件の捜査に当たって、決定的な証拠がない中、容疑者が誤判対策室の元警察官の有馬だけを指名して取り調べに応じると主張。そこで誤判対策室のメンバーが、今事件に関わることになる。メンバーと言っても、検事出身の春奈さんと、法律に詳しい潮見さんと有馬だけ。容疑者は有馬に対して起訴出来たら有馬の勝ち、できなかったら有馬の娘を殺すというゲームを持ち掛け、有馬は焦り始める。

途中までは面白いのですが、やはりミステリー小説の一番難しいラスト部分が平凡。容疑者が持っている検察を脅かす「20号手当」なる代物も、最初から裏金作りと想像できるし、政治家が絡むところも平凡。容疑者が自分の娘を殺した男を殺すという筋書きも、そんなことは警察が当然調べて固めている事実のようなもので、これもまた平凡。

推理小説のラストは本当に難しいことを実感しました。

今日はこの辺で。